2012年 05月 18日
工場跡は生きている |
12日には加藤さんとのトークショウ。まず「工場跡」オーナーであり、3年もの歳月をかけて建物を見事によみがえらせた喜多和夫さんから、再生までの道のりと今回の催しの趣旨説明をいただきました。これだけで2時間モノの講演になりそうな話ですし、ぜひお聞きしたいところではあったのですが、今回は自分たちが主役ということでマイクを預りました。
生業の場であり、生活の場でもあった工場が会場ということで、いつもの放談ではなく「生きる、働く、暮らす」というテーマを設け、(我々としては)入念に流れを作って臨みました。このテーマは、拙書で「工場は呼吸するアートである」という誰も考えつかなかったコピーを考案してくださった、経済評論家の内橋克人さんの言葉です。
どちらかというと事例紹介に偏りすぎてしまい、最後のまとめにあたる部分の練り上げが足りなかったことと、質疑応答の時間が取れなかったことが反省材料ですが、5月とは思えないような寒い日にもかかわらず、多くの方が席を埋めてくださいました。あとから指摘されて気がついたのですが、拙書がらみでやってきたどのイベントよりも、女性とアーティストの参加者が多かったそうです。これは場の力によるものですね。
工場としての役目はおよそ30年前に終えた「工場跡」ではありますが、喜多さん夫妻の抜群のホスピタリティと、喜多さんのお母様による、さりげないけれど存在感のある緑の演出、そして丁寧な接客をしてくれた若いスタッフの皆さんのご尽力で、見事に施設がよみがえっていたと思います。このような手作り感あふれる展示というのは、狙ってなかなかできるものではありません。
自分としましても、充分な設備と空間のおかげで原画、スケッチ、動画と写真までをまとめて見ていただける展示が実現し、まさに総括的な内容になったと思います。また、貴重な出会いもありました。偶然立ち寄られたにもかかわらず、熱心に原画を見てくださったうえトークまで聞いてくださった日本画家の方。日本画のほうがよほど繊細な仕事なのに、と思っています。そして、わざわざ在廊日に再訪いただいた方もおられました。ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました。
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by tsuna_moto
| 2012-05-18 02:34
| 作業終了